せっかく覚えたことを忘れるって嫌ですよね。特に勉強。
受験や資格試験などのために必死になって暗記するわけですけど、時間がたつとすぐ忘れてしまいますよね。
ホント、覚えるのは大変
なかなか記憶が定着せんよな
でも、調べてみたら忘れる事はいいことみたいよ
なんで⁈
最新の研究で『忘れる』事は、脳が積極的に行っており、多くのエネルギーを使っているんだとか。
なぜなのか?ザックリお話しします。
記憶とはなにか?
記憶とは、情報を保存し、後で再利用する能力を指します。記憶にはいくつかの種類があり、主に以下のように分類されます。
非陳述記憶(言葉で表せない記憶)
- 手続き的記憶(暗示的記憶):技能や習慣に関する記憶。例えば、自転車の乗り方やタイピングの方法など。
- 情動記憶(情動の起きやすさに関する記憶):喜びや怒り、恐怖などの記憶。
陳述記憶(言葉で表せる記憶)
- エピソード記憶:個々の出来事に関する記憶。例えば、昨日の夕食の内容など。
- 意味記憶:一般的な知識や概念に関する記憶。例えば、「犬は哺乳類である」という知識。
私たちの『物忘れ』は多くの場合、エピソード記憶のことを指しているそうです
非陳述記憶の方が忘れにくいそうやで
忘れることで新たな記憶を獲得する
脳の容量は有限
そもそも脳の容量は有限で、容量を増やし続けたとしても、その維持には膨大なコストがかかります。
また、蓄えられた知識どうしを適切につないでいくことは簡単ではありません。
受動的な忘却
記憶はタンパク質がもとになっています。タンパク質は壊れやすい性質のため、時間経過とともに壊れていきます。
記憶を思い出すなど、電気的刺激がなければエネルギーが供給されず、タンパク質はやがて崩壊してしまいます。
必要な記憶じゃなければ、自然と忘れちゃうって事だね
積極的な忘却
成熟した生体は、変更を嫌うようにできていて、これを『恒常性の維持』といいます。
生体の大原則です
体温調整もその一つやな
脳においても日々、膨大な情報を浴びることによって、否応なく脳の状態が変わっていきます。
新しい記憶は、恒常性を脅かす変化なので、『恒常性維持』の力が働くということ。
脳は新しい情報にワクワクした時など、ドーパミンが多く分泌されると、記憶を積極的に壊すためのタンパク質を生成しています。
ビックリ!
その他にも使用頻度の少ない神経細胞を除去しているんだって
こうした結果、必要な記憶が維持され、思考・感情の面でも脳の機能が健全に保たれているのです。
忘れない記憶とは
神経回路に組み込まれた記憶は忘れない
脳にどのような神経回路が形成されるかは、遺伝的な要素と、幼少期(8歳~10歳ぐらいまで)の環境によって決まります。
『非陳述記憶』については、その多くは3歳ぐらいまでに脳の深部にインプットされ、その後は変更されることがありません。
神経回路の記憶はその人の根幹をなす記憶で、恐れや喜びといった情動面での傾向が決まります。
幼少期の記憶で自分の気質が決まるとは……
理想の気質でなくとも個性として、前向きに捉えなあかんな
こういった気質の違いは個性を生み、人間の多様性として重要なのです。
10歳頃までにどんな経験をさせるかが重要なので、それまでに人生の楽しさや、喜びを脳の深部に刷り込んでしまいましょう。
幼少期の記憶は一生ついて回ることになります!
子育て中の方にプレッシャーになるな~
比較的忘れにくい記憶
- フラッシュバルブ記憶
特定の感情的や強烈な出来事に関連する記憶。重大な事件や個人的なトラウマ、幸福な瞬間などが挙げられます。これらは非常に詳細かつ鮮明に記憶されることがあります。
- 繰り返し復習する情報
学習や仕事で頻繁に使用される情報。繰り返し思い出すことで記憶に定着しやすくなる。
- 関連性のある情報
既存の知識や興味に関連付けられた情報は、脳内で他の記憶とリンクされるため、忘れにくくなります。
嫌な記憶の忘れ方
忘れづらい記憶に前述した『情動記憶』がありました。その中で思い出したくない嫌な記憶もあると思います。
不安感やストレス過剰になると『うつ』傾向になる可能性があり、なってしまうと心配事や否定的な考えが頭をめぐる『反芻思考』に陥ってしまいます。
こうなると常に記憶の回路を刺激し続けているため、忘れることができなくなる。
ではどうすればいいのか。
まずしっかり落ち込む
まずはその不安感を受け止めて、ドップリつかって十分落ち込む事が大事。
時には、自分の弱さや能力のなさを認めてしまいましょう。
そうすると何もやる気が出ず、ボーッと過ごす時間ができ、そのことを記憶に残しにくくする効果があります。
新しいことにチャレンジ
新たな知識や経験を貪欲に吸収することで、新しい記憶を取り入れ、古い嫌な記憶の消去を促進します。
好奇心を持ち、ワクワクしてチャレンジすることが大事です
行ったことがないお店に行くとか、小さな事でいいで
忘れることは良い事?
忘れることの罪悪感は、学校教育の暗記によるところが大きいと思います。
しかし今は、一人一台スマートフォンを持ち、インターネットを常時接続。検索すればすぐに答えがわかります。
今、大事なのは『考える』ことではないでしょうか。
自分にとって不必要な記憶は捨てて、新しい知識や蓄えられた記憶を駆使して考え、自分の意見を持つことが大事だと思います。
最後に、さっくは忘れる能力の一番の効果は癒しだと思います
悲しい事や絶望的な事が起こった時、時間が癒してくれるとか、解決してくれるとかありますよね。
さっくが印象に残っているある本の一節があります。
年を重ねるごとに段々と悲しみが薄れていった。
時間というものが何かを変えてくれるんだ。
ある老婆が語った言葉。あなたはまだ若いから知らないでしょうが
『哀しみにも終わりがあるのよ』
『大人の流儀』 伊集院 静より
これも、人の忘れる能力があればこその言葉ではないでしょうか。
参考文献▶『忘れる脳力』 岩立康男 朝日新書 https://publications.asahi.com/product/23821.html
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