アイドル漫画から見る アイドルの今とこれから

最近の漫画作品から見えてくるアイドルの今について、

『推しの子』、『ガールクラッシュ』、『さよならミニスカート』、3つの作品に注目すると、

現代のアイドルシーンが抱える課題が浮き彫りになってくるそうです。

ジャーナリストの松谷創一郎さんが、ラジオで話されていて大変、興味深かったので

その事についてザックリお話しします。

目次

推しの子

推しの子は昨年、アニメ化で大ヒット、最近はドラマも配信され、映画も公開されます。

近年もっともヒットしたコンテンツの1つと言えるでしょう。

さっく

アニメ主題歌、YOASOBIの『アイドル』も大ヒットしましたね

この作品はミステリーとか転生などの要素などがありますが、

漫画でメインに描かれてきたのは、日本のアイドルに関連する芸能界の裏事情

見方を変えれば、アイドルを切り口に日本のコンテンツ産業の現状を描いた作品とも言えます。

例えば、舞台では原作者と脚本家をめぐる軋轢が描かれていて、

テレビでは、リアリティショーやバラエティー番組での炎上や民放テレビ制作の窮状が描かれています。

セクシー田中さんやテラスハウス、近年起こったテレビ番組の問題と似た内容。

アイドルを描く作品でありながら、音楽の側面はあまり強くありません。

これはアイドルが、必ずしも音楽を中心としていない日本の状況を表しています。

誤解を恐れずにいえば、『アイドルと音楽』というよりも『アイドルと芸能界』を描いた作品。

ガールクラッシュ

この作品は、韓国に渡ってK-POPアイドルを目指す女子高校生の物語。

2024年の紅白歌合戦に出場する、TWIC、LE SSERAFIM、ILLIT、には、それぞれ日本出身者がいます。

この作品の主人公は、まさに日本から韓国に渡ってデビューを目指す練習生。

現在も連載中で、物語は真っ直ぐで、スポ根と言えるような内容。

シビアな競争がしっかり描かれているが、ドロドロするような展開はなく、その点では推しの子とは対照的な作品です。

強調されているのは、主人公が『カッコイイ女性を目指す』という事。

これは作品名からも読み取れます。

『ガールクラッシュ』というのは、2010年代中期以降にK-POPで流行しているコンセプト。

これは、『女性が憧れる女性像』という概念で、BLACKPINKが代表例。

さよならミニスカート

握手会で襲われた元アイドルの少女を描いた物語。

元アイドルであることを隠して生きる高校生が、同級生との出会いによって心を開いていくストーリー。

この作品の特徴は、異性に欲望の対象とされる存在としてのアイドルに、問題提起をしている事。

印象的な表現として、よく出てくるのは

『どうして女の子のアイドルは、みんな30歳を前に消えちゃうのかな』というセリフ。

他にも、未成年にも関わらず、下着とか水着姿の仕事をすることに対しても、強い問題意識を投げかけています。

この作品は、必ずしもアイドルを全否定するのではなく、連載中なので憶測ですが、おそらくアイドルを再定義する方向なのではないか。

作品から現在のアイドルシーンついて見えてくるもの

大きく3つの変化が見えてきます。

①音楽性への回帰

そもそもアイドルに求められているものが、音楽とパーソナリティーにあるとすれば、日本のアイドル文化は後者のパーソナリティーで、この15年程とても強くなりました。

例えば、CDに握手券を付けて販売するAKB商法。

そこで求められていた物は、音楽というよりもコミュニケーション。

つまりアイドル個々のパーソナリティーでした。

日本のアイドルはもともと音楽性が弱かったかというと、確かにその傾向は、かなり昔から見えていたとも言えます。

例えば、山口百恵さんやピンクレディーを輩出した『スター誕生』という番組がありました。

ここで審査員だった作詞家の阿久悠さんが、

『つまらない上手よりも面白い下手を選びましょう』と言っていました。

この段階から、未完成であることがアイドルに求められていたようです。

ただそれでも80年代中期頃までは、アイドルにはしっかりとした歌唱力も求められていたし、ボイストレーニングも受けていたそう。

たっく

山口百恵、松田聖子、中森明菜、みんなうまかったな~

さっく

なんか、上から目線なんですけど……

ルックスやパーソナリティーだけでなく、音楽性も重要な評価基準になっていた。

ただこの状況が変わっていくのは、80年代中期から後半なってから。

週に1人づつメンバーを増やしていく手法の『おニャン子クラブ』から歌唱力やダンスの能力が求められにくくなった。

さっく

確かに……ただ、素人感が新鮮でしたね。大人数というのも新しかった

たっく

AKBも『会えるアイドル』がコンセプトやし、こういう流れを作ったのが秋元康さんやな

さっく

決してこれが悪い訳じゃありませんよね。素晴らしい企画力です

現在はその状況に変化が起きていて、そこで上げられるのがK-POPで、音楽に重点を置いていて、世界を席巻しています。

NewJeansがその典型で、アイドルとして売れたというよりも、先に音楽が売れました。

漫画の『ガールクラッシュ』は、そうした音楽をちゃんとやるアイドルを分かりやすく描いています。

日本では、どんな曲でも握手券を目当てにファンは買うので、新曲を出せばヒットしていた。

さっく

音楽にあまり力をかけなくてもよくなったのか~

AKB商法は、音楽メディアがCDから配信に移行する過渡期に生まれた策だったのではないでしょうか。

それを続けたしまった為、基礎体力が落ちてしまったと考えられるそうです。

②キャリアの多様化・流動化

2024年の紅白歌合戦に出場する『ME:I』というグループがありますが、メンバー11人中3人が再デビュー。

再デビューというと例えば、

LE SSERAFIM のサクラさんもHKT48や IZ*ONE(アイズワン)経て3つ目のグループ。

Number i は、King & Prince を脱退した3人が結成した再デビューのグループ。

たっく

確かに、最近こういうの多いな~

さっく

デビューする前からファンがいるんだよね

K-POPでは、こうした動きが2010年代後半からかなり見られるようになり、

日本でも、そうした動きが出てきました。

グループ1つ1つがスポーツのチームのような感じで、メンバーは自分の望むチームに移籍をしていく。

日本では芸能プロダクションの古い慣習で、なかなかできませんでしたが、現在はその自由度が生じてきました。

③アイドルとファンの関係性

『推しの子』と『さよならミニスカート』は、どちらもファンによる凶行が物語の軸に置かれています。

また、スマートフォンの普及によって、スキャンダルも昔に比べて格段に増えている。

さっく

簡単に写真や動画が撮れるもんね

たっく

それをSNSなんかで、すぐ拡散できるもんな~

『推しの子』の原作の後半では、スキャンダルのエピソードも出てきます。

さっく

そもそも、現役の人気アイドルがこっそり生んだ子供が主人公……

現在のアイドルファンが必ずしも悪質とは言えないものの、ストーカーや暴力事件が、この10年ぐらいで目立ってきています。

ファンが能動的になってきて、従来のような関係性の維持が困難になってきているのではないか。

今後のアイドルについて

『ガールクラッシュ』と『さよならミニスカート』は、物凄く主体的なアイドルを描いています。

自分のキャリアや表現方法を選択できる存在として描かれている。

そこでは、従来の管理される存在から『主体的な表現者』へと変わりつつある。

これらの変化の背景には、K-POPの影響もあるが、ジャニーズ事務所の解体もあると思われます。

今回、紹介した3つの作品はこうした業界の変化を鋭く捉えた作品ではないでしょうか。

さっく

最後に例のAI先生に、日本のアイドルのこれからについて聞いてみたよ

1. 多様性と個性の重視

これまでの「グループ内での均一性」や「理想化されたイメージ」から、個々の個性や多様性を尊重する方向へシフトしています。SNSの普及により、ファンはアイドルのよりパーソナルな一面に魅力を感じるようになり、従来の型にはまったアイドル像が変わりつつあります。

2. グローバル展開の強化

K-POPの成功を背景に、日本のアイドルも国際市場を意識した活動を増やしています。英語や多言語での発信、国際ファン向けのコンテンツ制作など、海外のファンを取り込む努力が求められています。

3. ファンとの関係性の進化

ファンとの距離感が近い「会いに行けるアイドル」コンセプトが人気でしたが、オンラインでのライブ配信やイベントが定着したことで、新しい形の交流が生まれています。これにより、地方や海外のファンとも繋がりやすくなっています。

4. AIやデジタル技術の活用

バーチャルアイドルやAIを活用した新たな形のエンターテインメントが注目されています。これにより、従来の「リアルなアイドル」に対する価値観がさらに多様化するでしょう。

5. 労働環境やメンタルケアの改善

過酷なスケジュールやプライバシー侵害など、アイドルの労働環境についての問題が指摘されています。持続可能な活動のためには、業界全体での改善が必要です。特に若い世代が多い業界であるため、メンタルヘルスへの配慮が求められます。

6. ファンダムの成熟化

ファン文化の健全化が課題です。過激な行動や過剰な期待がアイドルにプレッシャーを与えるケースが少なくありません。ファンもまた、アイドルを一個人として尊重する意識を育むことが重要です。

結論

日本のアイドル業界は、時代とともに変化しながらも進化を続けるでしょう。ただし、その未来が明るいものとなるためには、アイドル本人やファン、そして業界全体が共に新しい価値観を築いていく必要があります。伝統を尊重しつつも、新しい挑戦を受け入れる柔軟さが鍵となるでしょう。

たっく

う~ん、やっぱりスゴイ……

松谷創一郎さん X ▶https://x.com/TRiCKPuSH?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

Nらじ ホームページ▶https://www.nhk.jp/p/nradi/rs/X7R2P2PW5P/

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